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ガス小爆発

小学校の再資源回収が9時に終了したので、窯焚きは9時半スタートということにした。
9:20、窯小屋に入り、まず窯の中を確認。昨晩遅くまでかかって積み上げた棚7段。記録として写真撮影。そして「ちゃんと焼けますように」と、いつものように扉が開いたままの窯に向かって二礼二拍手一礼。
9:27、窯の扉を閉めてから小屋の外へ出る。小屋の裏手には9本のガスボンベ。そこの元栓を開く。小屋に戻って今度は窯側の元栓を開く。
と、、「シュー、、」という音。
あれ?
いつもと違う感じに慌てて今開いたばかりの元栓を閉じる。
いつもこんな音してたっけ?
目の前にある窯右側のバーナーの栓を見る。そこに4つ並んだバーナーの栓は全て閉じられてる。着火用バーナーの栓も。左側のバーナーは確認はしなかった。多分大丈夫だろう、と思って、というより、9時半が迫っていたのでちょっと慌てていたのかも知れない。改めて元栓を開く。「シュー、、」という音はあえて気にせず、いつものように、まず着火用バーナーに点火。4つ並んだ一番左端のバーナーの二次空気孔にその火を突っ込んで、そこの栓を開く。2〜3秒してボッという音。この時ほぼ9時半ジャスト。よし。
残り3つは後回しにして、今度は窯の左側に回る。着火用バーナーを手に取ろうとしたときに、左側バーナーの4本全ての栓が開いていることに気がついた。あ、これか! 慌ててそれらを全て閉じる。でも9時半は過ぎている。まぁ大丈夫だろうと安易に考えて、改めて着火用バーナーに点火、その火を一番左端の孔に突っ込んだ。次の瞬間、
「ボンッ!!!」
大きな爆発音とともに、何かが飛んだ。辺りが白く霞んでいる。粉が舞っている。
うわっ!、やってもた!、、
前扉の色味孔を塞いでた耐火レンガの栓が2つ、窯の前方2mくらいのところに飛んでいた。窯の後ろには、煙道の一番下の大きな四角い孔を塞いでた耐火レンガの一部が割れて散乱してた。
慌てて全てのガス栓を閉じる。そして慌てて窯の扉を開けにかかる。4つある扉固定用ハンドルをくるくる回すのがもどかしい。回しながら、Mさんに何て言おう、と考えていた。窯の中にはMさんからの頼まれ物が入っていたから。
ハンドルを左右に弾き倒して、重い扉をゆっくりと引き開ける。棚は無事だった。釉掛けされて並んだ器たちも、何事もなかったかのようにそこにある。ただ熱量測定用のオルトンコーンだけが倒れていた。奇跡だと思った。
ただ、そこからしばらくは動けなかった。ガス爆発の衝撃に気持ちが完全に怯んでしまって。

でも、窯焚きはしなきゃ。
気を取り直して、まず散乱したものを片付けた。
器たちは本当に大丈夫なのだろうか?窯焚きを再開する前に確かめないと。リフトを差し込んで棚を一旦窯の外に出す。出てきた棚の周りをぐるり一回りして全体を確認。大丈夫。
次に窯の内壁も確認。小さな破片は散乱してたけど、特に問題なさそうなレベル。小さな帚と塵取りで破片を取り除く。
そしてバーナー。ちゃんと健全な炎が出るかどうかの確認。火を付けるのが恐い。ガスの栓を開けるのが恐い。ちょっとしたトラウマ。でも、やらなきゃ仕方ない。意を決して、まず元栓を開く。「ション、、」あ、これだ。これがいつもの音だ。ガスが窯の管全体に充満するときの音だ。そして、まずは左側から。着火用バーナーに点火、その火を左端の孔に差し込んで、バーナーの栓を開く、、2〜3秒して、「ボッ」、孔を除くと青い炎。残りの3つを順番に開く。「ボッ」、「ボッ」、「ボッ」 窯の全面に回って中を覗く。健全な青い炎が上がっている。一旦元栓を閉じて消火も確認。数秒後に「ボッボッボッボッ」と破裂音がして、バーナーの一次空気栓から赤い炎が上がってすぐに消える。いつも通り。大丈夫だ。窯の右側4本も同様に確認。
改めてリフトで棚を窯に入れて、もう一度最初から。二礼二拍手一礼。扉を閉めて。ドキドキしながら点火作業。10時に何とか窯焚きを再スタートすることができた。

ぼくはガス窯を扱っている、下手に使うととても危険なものを扱っているんだという自覚が、この頃少し薄れてきてたんだと思う。下手をすると、2ヶ月掛けて仕込んだ作品が一瞬で消えてたかも知れない。作品だけじゃなく、大枚はたいて買ったこの窯が壊れていたかも知れない。いやもしかしたら、ぼく自身が大怪我を負ってたかも知れない。いやそれどころか、命を落としてたかも知れない。

大事に至らなくて本当に良かった。今日の失敗は良い教訓になったと思う。この先しばらくは窯焚きの度にドキドキすることになるだろうけど、それで良かったと改めて今思う。